マレーシア留学のビザ(Student Pass)|申請・入国から届くまでを体験ベースで解説

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マレーシアの大学に留学するには、Student Pass(学生ビザ)の取得が必要です。申請は大学とEMGS(Education Malaysia Global Services)を通じて進むため、自分で大使館に通うタイプのビザ申請とは流れが異なります。

マレーシアのStudent Passは、渡航前の申請だけで完結しません。到着後にも健康診断やStudent Passの受け取りといった手続きが続き、実際に手元に届くのは入国から数週間後です。空港での入国手順も通常とは異なるため、事前に全体の流れを把握しておくことが重要になります。

この記事では、申請要件の解説に加えて、2025年にモナシュ大学マレーシア校に入学した私が実際に経験した手続きの流れとタイムラインを、準備開始からStudent Pass受け取りまでまとめました。

※2026年3月時点の情報です。ビザ制度は変更される可能性があるため、最新情報はEMGS公式サイトおよび各大学の案内でご確認ください。

この記事の要点
  • Student Passの申請は大学経由でEMGSに提出する。個人で移民局に申請するものではない
  • 申請から渡航までの準備期間は最低3〜4か月が目安
  • マレーシア到着後も手続きが続く。Student Passが手元に届くのは入国から数週間〜1か月程度が目安
  • パスポートの残存期間は18か月以上必要
CONTENTS

Student Passとは

マレーシアで90日以上就学する留学生に必要な滞在許可です。正式名称は「Pas Pelajar」。マレーシアの学生ビザはこのStudent Passを指します。

管轄はマレーシア移民局(Immigration Department of Malaysia)ですが、申請の窓口はEMGS(Education Malaysia Global Services)というマレーシア高等教育省の傘下機関です。留学生のビザ申請はすべてEMGSを通じて行います。

有効期間: 在学プログラムの期間に合わせて発行されます。私の場合、モナシュ大学マレーシア校の学部課程で、有効期限は2031年3月31日(卒業予定時期まで)でした。

申請に必要な書類

書類補足
パスポート(残存18か月以上)顔写真ページのスキャンデータ
パスポートサイズ写真白背景、35mm × 45mm。画像は1MB以上が推奨
卒業証明書日本語と英語の両方が必要
成績証明書日本語と英語の両方が必要
英語力の証明書IELTS、TOEFL、PTE等。大学の入学条件を満たすもの
健康申告書(Health Declaration Form)EMGSの指定フォーマット。既往歴の自己申告が中心

私の場合、もともとエージェントを使う予定はありませんでしたが、高校側がモナシュ大学マレーシア校への進学に際してエージェントとの契約を手配してくれました。費用もかからなかったため、そのまま利用することにしました。書類の提出や手続きの多くはエージェントが代行してくれたので、自分で直接対応したのは証明写真とパスポートのデータ提出くらいでした。

書類準備のポイント

  • 成績証明書・卒業証明書の英文発行は高校によって1〜2週間かかることがある。早めに依頼する
  • パスポートの残存期間が足りない場合は更新が先。更新にも1〜2週間かかる
  • 証明写真は白背景が必須、画像サイズは1MB以上が推奨されている。画質が粗いとEMGSから再提出を求められることがある
  • 渡航前に病院で健康診断を受ける必要はない。「Health Declaration Form」は既往歴を記入する書類で、本格的な健康診断はマレーシア到着後に受ける
  • 書類はカラースキャンしてPDFで提出する。「開封無効」と書かれた封筒も開封して中身を確認・スキャンして問題ない

申請から渡航までの流れ

STEP

大学からオファーレターを受け取る

大学から正式な入学許可が出ると、Student Pass申請の案内が届きます。大学によって案内の形式は異なりますが、通常はメールで届き、必要書類のリストと費用の請求書(invoice)が含まれます。

私の場合は前述のとおり高校が手配したエージェントを通じて手続きを進めていたため、EMGSの存在もエージェント経由で知りました。「学生ビザの申請が必要」というタイミングで、エージェントからやるべきことの案内があり、その流れでEMGSの仕組みを理解した形です。

STEP

費用を支払い、書類をアップロード

大学の案内に従って、ビザ申請費用・医療保険料・デポジットなどを支払います。費用は大学によって異なりますが、私の場合(モナシュ大学マレーシア校)はEMGS申請手数料がRM 1,658(約57,000円) でした。これとは別に入学デポジット(RM 3,184)や寮の予約金(RM 500)なども同じタイミングで請求されます。

※金額は大学・年度によって異なります。詳細は大学またはエージェントの案内に従ってください。

書類はEMGSのオンラインポータルを通じて提出します。多くの場合、大学側やエージェントがポータルへの登録を代行し、学生は必要書類のスキャンデータをアップロードします。

申請が進むと、EMGSからアカウント確認のメールが届きます。件名は「Account confirmation for ○○」のような形式で、メール内の「Confirm Account」ボタンを押してアカウントを承認する必要があります。これは学生本人が対応する手続きです。

STEP

EMGS審査・eVAL取得

EMGSのポータルでは申請の進捗がパーセンテージで表示されます。

  • エージェントや大学からは「通常2〜3か月かかる」と案内されることが多い
  • 進捗が70%前後に達すると、eVAL(electronic Visa Approval Letter) がダウンロード可能になる
  • eVALの有効期間は6か月

私の場合、書類の準備開始からeVAL発行まで約50日でした。エージェントからは「2〜3か月かかる可能性がある」と案内されていましたが、実際には入学金の入金からわずか9日でeVALが発行されました。ただし、審査期間は時期や大学によって変わるため、余裕をもったスケジュールを組んでおくのが安全です。申請中に追加書類を求められるなどのトラブルは特にありませんでした。

STEP

eVISAを取得

eVALが発行されたら、マレーシアに入国するためのeVISAを取得します。

  • eVISAはオンラインで申請可能。eVAL発行後にエージェントまたは大学から案内が届く
  • 費用:約3,500円(為替レートにより変動)
  • 有効期限:3か月間。入学日が先の場合は、入学日の3か月前を切ってから申請する

※eVISAのほかにSEV(Single Entry Visa)を東京のマレーシア大使館で直接取得する方法もあります。
※日本国籍の場合、マレーシアへの90日以内の観光目的入国はビザ免除ですが、Student Pass取得目的での入国にはeVISAまたはSEVが必要です。

STEP

渡航準備

eVALとeVISAが揃ったら、渡航の準備に入ります。

  • 航空券の手配: eVALが確定してから手配するのが安全です。審査が遅れた場合にキャンセル料が発生します。購入後、Eチケット(英文)を大学に提出する必要があるため、英語表記のEチケットを用意してください(送迎手配に使われます)
  • 海外留学保険の加入: マレーシアでは大学経由で医療保険に加入しますが、それとは別に日本の海外留学保険にも加入しておくのが一般的です。私は「たびほ」を利用しました
  • MDAC(デジタルアライバルカード)の登録: 初回入国時はeVISAでの渡航になるため、MDACの登録が必要です。マレーシア到着の3日前からオンラインで登録できます。登録内容はプリントまたはスクリーンショットで保存してください。出国日(Date of Departure)は正確な日付が分からなければ1か月後くらいで問題ありません
  • WhatsAppの事前登録: マレーシアでは大学や寮との連絡にWhatsAppを使います。日本にいる間にダウンロード・アカウント登録を済ませておいてください。現地でSIMカードを入れ替えてから登録しようとすると、うまくいかないケースがあります
  • 大学への到着フォームの提出: 出発の7日前までに、大学の指定フォームから空港送迎の申し込みを行います。大学がこのフォームをもとに送迎を手配してくれるため、忘れずに提出してください

航空券を買うときの注意点

  • 必ずKLIA(クアラルンプール国際空港)着の便を購入する。 空港でStudent Passの入国手続きがあるため、他の空港に到着すると手続きができません
  • 到着日はオリエンテーション日の数日〜1週間前。 エージェントからは「2〜5日前」が案内されることが多いですが、私の経験では健康診断を早めに済ませないと履修登録に影響が出るため、できれば1週間前に着いておくのがおすすめです
  • 入学日の2週間前より早い入国はできません。 学生寮のチェックインも入国可能日以降になります
  • 平日の午前中に到着する便がおすすめ。 大学スタッフとの連絡や送迎がスムーズに進みます
  • 1人で渡航する必要があります。 空港で学生ビザの手続きがあるため、家族と一緒に入国・入寮することは基本的にできません。留学生も現地学生も、1人で渡航・入寮するのが一般的です

マレーシア到着後の手続き

マレーシアに着いてからも手続きは続きます。前述のとおり渡航は1人で行うため、到着直後はすべて自分で動くことになります。私にとってはこの時期が一番大変でした。

空港での入国

入国時に必要な書類はすべてプリントアウトして手荷物に入れてください。預け荷物に入れてしまうと、入国審査で提示できません。

手荷物に入れる書類
  • パスポート原本
  • eVAL(プリントアウト)
  • eVISAまたはシングルエントリービザ
  • 入学許可書(Offer Letter)
  • 成績証明書 原本(和文・英文)
  • 卒業証明書 原本(和文・英文)
  • MDAC登録画面のスクリーンショットまたは印刷

※成績証明書・卒業証明書・英語力証明書は入国時に提示を求められないことがほとんどですが、まれに確認されることがあります。また、これらの証明書は大学卒業まで保管が必要です。

KLIAに到着したら、一般の入国審査レーンや自動ゲートには行かず、到着ゲートから5分ほど歩いた右手にあるEMGSのブース(学生ビザ専用カウンター) に向かいます。ここでパスポート、eVAL、eVISA、Offer Letterを提示します。

ビザについて聞かれた場合は、以下のように伝えてください。

“I have Single Entry Visa / eVISA. This is my first time, so I will get a Student Pass through university.”

(シングルエントリービザでの入国です。初めての入国で、大学を通じてStudent Passを申請する予定です)

EMGSブースで確認が取れたら入国審査に進みます。パスポートに「Special」のスタンプが押されます。

「Special」のスタンプは必ず確認してください。 「Social」「VISIT」など別のスタンプが押された場合は、その場で入国管理官に申し出てください。正しいスタンプがないと、一度マレーシアを出国して入国手続きをやり直すことになる可能性があります。

私の場合、パスポートに「SP」と書かれて「これで大丈夫なのか?」とかなり不安になりましたが、これが正規の手続きです。Student Passが届くまでこのSpecial Passで滞在します。

到着後すぐにやること

空港から大学に到着したら、当日または翌営業日に大学のInternational Officeを訪ねて入国を報告してください。大学の指示に従い、Student Passの最終手続きに入ります。

健康診断

マレーシア到着後、EMGS指定のクリニックで健康診断を受けます。

  • 大学が日程・場所を案内してくれるのが一般的
  • 検査内容:血液検査、尿検査、胸部X線など
  • 費用は無料
  • 予約はWhatsAppで行う場合もある

この健康診断を済ませないと授業の履修登録に進めないため、到着後できるだけ早く受けることが重要です。

Student Pass受け取り

健康診断の結果と必要書類を提出すると、Student Passの発行手続きに入ります。

提出するもの
  • 証明写真(白背景、パスポートサイズ)
  • eVISA
  • 健康診断の結果

私は日本から証明写真を持ってきていなかったため、大学近くの写真屋で撮影してもらいました。証明写真は日本で用意しておくとスムーズです。

  • パスポートにStudent Passのステッカーが貼られて返却される
  • 私の場合、所要期間は入国から約1〜2週間でした
  • 同時にiKAD(留学生用IDカード) も発行される

※所要期間は大学や時期によって異なります。

Student Passの更新

私のStudent Passは在学期間分(2031年3月31日まで)で発行されているため、現時点で更新手続きは行っていません。

ただし、Student Passの更新が必要になるケースもあります。その場合の一般的な条件は以下のとおりです。

更新の条件

条件基準
成績CGPA 2.0以上(4.0スケール)
出席率80%以上

これらを満たさない場合、更新が短縮(3か月や6か月)されたり、最悪の場合は更新不可=退学になるケースもあります。

更新の流れ(一般的な情報)

  • ビザ有効期限の12〜8週間前に申請
  • パスポートを大学に預ける
  • 処理期間は約2か月
  • この間は海外渡航不可

一時帰国について

Student Passの有効期間内であれば、一時帰国に特別な手続きは不要です。

また、Student Pass保持者はMDAC(Malaysia Digital Arrival Card)の登録が免除されます。マレーシア移民局の公式情報で、長期パス保持者(Student Pass含む)はMDACの対象外とされています。

※初回入国時はeVISAでの渡航となるため、MDACの登録が必要です(到着3日前からオンラインで登録可能)。MDAC免除はStudent Pass取得後の再入国から適用されます。

Student Passと日常生活

Student Passに関連して、到着後の生活で知っておくべきことをまとめます。

学割

Student Passがあると、意外と多くの場所で学割が使えます。私の大学周辺では、レストラン、カラオケ、ボーリング場などで学生割引がありました。マクドナルドにも学割があるという話もあります。日常生活で不便を感じたことは特にありません。

銀行口座の開設

マレーシアで銀行口座を開設するには、Student Passが必要です。私はまだ銀行口座を開設していないため、具体的な手続きの流れは把握できていません。

SIMカード・携帯電話

プリペイドSIMであればパスポートで購入できます。

私は空港に到着してすぐ、大学の無料送迎サービスと連絡を取る必要がありました。ただ、電話がうまく繋がらなかったため、急いで空港でU-mobileのプリペイドSIMを購入しました(本当はCelcom Digiが良かったのですが、その場で選ぶ余裕がなかった形です)。

到着直後に連絡手段が必要になるケースがあるので、SIMは空港で早めに調達しておくのが安心です。

アルバイト

Student Passでのアルバイトはセメスター休暇中のみ週20時間までに制限されています。許可される業種も限定されており、飲食店・ガソリンスタンド・ミニマーケット・ホテルの4業種のみです(※大学の承認が必要)。

通常の学期中のアルバイトは禁止されています。

他国のビザと比べてどうか

GoBeyondBordersでは、カナダ・アメリカ・フランスなど複数の国に留学した学生にインタビューを行っています。ビザ手続きの印象を比較すると、マレーシアのStudent Passには以下の特徴があります。

マレーシアカナダアメリカ
申請の窓口大学経由(EMGS)個人で申請(IRCC)個人で申請(USCIS)
大使館面接不要不要必要
処理期間の目安2〜3か月(私は約50日)数週間〜数か月数週間〜数か月
進捗の確認EMGSポータルで% 表示オンラインで確認可オンラインで確認可
到着後の追加手続きあり(健康診断・SP期間)入国時にStudy Permit発行I-20提示で入国

マレーシアの特徴は、申請自体は大学やエージェントが主導してくれるため比較的楽な一方、到着後の手続き(健康診断・Special Pass期間・Student Pass待ち)があること。手続き自体は難しくないものの、到着直後に1人で動く不安は覚悟しておく必要があります。

よくある質問

eVALが届く前に航空券を買ってもいい?

おすすめしません。EMGS審査は予定より遅れることがあります。eVALが確定してから航空券を手配するのが安全です。

観光ビザで先に入国して、あとからStudent Passに切り替えられる?

できません。観光ビザで入国すると、Student Passの申請手続きができなくなります。eVAL+SEV(またはeVISA)を取得してから入国する必要があります。

パスポートを預けている間に身分証明はどうする?

iKADが発行されるまでの間は、パスポートのコピーと大学の学生証で対応するのが一般的です。

一時帰国する場合、Student Passはどうなる?

Student Passの有効期間内であれば、出入国に特別な手続きは不要です。Student Pass保持者はMDACの登録も免除されます。

エージェントは必要?

私自身はエージェントを使う予定はありませんでしたが、高校側が手配してくれたため利用しました。費用もかからなかったので、使えるならお願いしようという判断です。実際には申請手続きだけでなく、到着直後の動き方なども案内してもらえたため、安心して動くことができました。

一方で、友人の中には自分で手続きをした人もいます。手続き自体はそこまで複雑ではないため、「絶対にエージェントが必要」というわけではありません。ただし、エージェントの費用は利用形態や契約内容によって異なります。学校経由で無料になるケースもあれば、有料のケースもあるため、事前に確認してください。

全体のタイムライン

全体の流れを時系列で整理します。

時期やること
入学4〜5か月前オファーレター受領。書類準備を開始
入学3〜4か月前費用支払い・書類アップロード → EMGS審査開始
入学1〜2か月前eVAL取得 → eVISA取得 → 航空券手配(KLIA着・Eチケット英文を大学に提出)・海外留学保険加入
渡航7日前大学への到着フォーム(送迎申込み)提出
渡航3日前MDAC(デジタルアライバルカード)登録
渡航日1人でKLIAへ → EMGSブースで書類提示 → 入国(SPスタンプ)
到着後すみやかに健康診断を受診
到着後数週間Student Pass+iKAD受け取り

私の場合の実際のスケジュール

参考として、私(モナシュ大学マレーシア校、エージェント利用)の実際のスケジュールを載せておきます。

時期出来事
3月上旬書類提出開始(パスポート、卒業証明書、成績証明書、証明写真)
3月下旬合否判定完了。健康申告書の提出
4月中旬EMGSアカウント確認メール → Confirm Account
4月下旬入学金入金 → ビザ申請スタート
4月末eVAL発行(入金から9日、書類提出開始から約50日)
5月eVISA取得 → 航空券購入・Eチケット提出
6月授業料・学生寮費の支払い
渡航1週間前到着フォーム(送迎申込み)・寮チェックインフォームの提出
渡航3日前MDAC登録
7月中旬マレーシア到着 → 入寮 → 健康診断 → Student Pass受け取り

エージェントからは「ビザ審査に2〜3か月かかる」と案内されていましたが、私の場合は比較的スムーズに進みました。

到着のタイミングは、オリエンテーションの1週間前がおすすめです。 健康診断を済ませてからでないと履修登録が進められず、授業開始に間に合わない可能性があります。


※この記事の情報は2026年3月時点のものです。ビザ制度・費用・手続きは変更される可能性があります。最新情報はEMGS公式サイトおよび各大学の留学生課でご確認ください。


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免責事項

本記事の内容はインタビュー時点の情報に基づいており、費用・制度・条件は時期や個人の状況により異なります。ビザ制度や奨学金制度等は変更される可能性があるため、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。本記事の内容に基づく判断や行動の結果について、当メディアおよび執筆者は責任を負いかねます。

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