マレーシアAPU(アジアパシフィック大学)の日本人留学生|学費・生活費・授業を在学生に取材

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マレーシアのAPU(Asia Pacific University of Technology & Innovation)大学の校舎外観

APU(Asia Pacific University / アジアパシフィック大学)は、130カ国以上から留学生が集まるマレーシアのIT特化型大学です。学生の約半数が留学生で、QS世界大学ランキング2026ではInternational Students(留学生)の指標でマレーシア1位、世界16位に選ばれています。

日本人留学生も数百人規模で在籍しており、マレーシアの大学の中では日本人が多い方に入ります。

この記事では、APUに通う日本人在学生へのGoBeyondBordersの取材をもとに、学費・生活費の具体的な数字、英語の準備、出願方法、キャンパス生活までをまとめました。

※この記事の情報は2026年3月時点のものです。学費・為替レート・入学要件は変更される可能性があるため、最新情報はAPU公式サイトでご確認ください。

CONTENTS

APUの基本データ

項目内容
正式名称Asia Pacific University of Technology & Innovation
所在地クアラルンプール(KLCC から約16km)
設立1993年
学生数13,000人以上
留学生比率約50%(130カ国以上)
日本人留学生数百人規模
QS世界ランキング597位(2026年)
QS留学生指標世界16位 / マレーシア1位
主な分野IT・コンピュータサイエンス、ビジネス、エンジニアリング、デザイン
入学時期3月、7月、9月(学部・コースにより異なる)
※出典:APU公式サイト、QS World University Rankings 2026

APUのQSランキングは597位で、モナシュ大学マレーシア校(36位)やテイラーズ大学(253位)と比べると高くはありません。一方で、IT・コンピュータサイエンスの分野ではマレーシアで最も評価されている大学の一つです。マレーシア政府から「Premier Digital Tech Institution(プレミアデジタルテック大学)」に認定されており、エンジニアリング学位はWashington Accord(国際エンジニアリング学位の相互認証協定)の認定を受けています。

APUを他のマレーシアの大学と比較した詳細は、以下の記事にまとめています。

APUを選んだ理由——在学生2人の判断

取材したAPUの日本人在学生は、2人とも「多様性」をAPUを選んだ理由として挙げていました。

Aさん(デジタルマーケティング専攻)は、日本の大学受験に失敗したあと、留学エージェントを通じてマレーシアという選択肢に出会いました。予算と多様性の2点でAPUを選んでいます。

APUって学生の半分ぐらいが留学生で、それも世界百何十カ国から集まってて、すごい多様性に富んで面白そうな大学だなと思いました。

R.M.さん(Computer Science AI専攻)は、アメリカの語学学校に半年間通ったのち、APUを選んでいます。アメリカに求めていた「多様性」と「IT」の両方がAPUにあったことが決め手でした。

R.M.さん

いろんな人がいるっていうところは、APUはどの大学にも絶対負けない。中東からの人もいるし、アフリカ、ヨーロッパ、中央アジア、インド。本当にいろんな国の人と自然に交流が生まれる雰囲気がある。

2人に共通していたのは、テイラーズ大学やモナシュ大学マレーシア校など他の候補を比較した上で「APU一択」だったという点でした。モナシュの方がランキングは高いが、130カ国の留学生が集まる環境は他にないと2人とも判断しています。

APUの学費

APUの学費はコースによって異なります。APU公式サイトの情報をもとにまとめました。

Foundation(大学準備課程)

項目内容
学費約RM26,800(約94万円)
期間1年間
英語要件IELTS 5.0 / TOEFL 500(PBT)

学部(Bachelor’s Degree)

コース例学費(3年間合計)年間換算
BSc Computer Science約RM104,600約RM34,900(約122万円)
Business系約RM90,000〜98,000約RM30,000〜33,000(約105〜115万円)
英語要件IELTS 5.5〜6.0 / TOEFL 513〜550

※1リンギット ≒ 約35円(2025年の年間平均。為替レートにより変動します)
※出典:APU公式サイト、eduadvisor.my

取材では、R.M.さんが「学費は年間100〜200万円程度で、年々上昇傾向にある」と話しています。支払いは学期ごとの分割で、親が大学に直接支払う形が一般的です。

APUは奨学金・メリットアワードも複数用意されています。詳細はAPU公式サイトの奨学金ページで確認できます。

生活費——月6〜9万円

取材したAPU在学生の生活費を比較します。住居・食事・交通の選び方によって、月の支出は大きく変わります。

Aさん:自炊中心・電車通学の場合(月約6万円弱)

項目金額備考
家賃650 RMコンドミニアム、ミドルルーム
食費約750 RM8割自炊
交通費約100 RM電車中心
通信費約53 RMSIM 20 RM + Wi-Fi 33 RM(3人分担)
合計約1,550 RM(約5.4万円)

R.M.さん:外食中心・車通学の場合(月約8〜9万円)

項目金額備考
家賃約1,100〜1,200 RM一軒家マスタールーム、3人シェア
食費約750 RM外食7割・自炊3割
通信費約180 RMWi-Fi 150 RM + SIM 30 RM
ガソリン代約200〜240 RM車所有
雑費約300 RM服・交際費
合計約2,500〜2,700 RM(約8.7〜9.5万円)

※いずれも学費を含まない金額です

2人の生活費に差があるのは、住居タイプ(コンドミニアム vs 一軒家)、食事スタイル(自炊中心 vs 外食中心)、交通手段(電車 vs 車)の違いによるものです。

APU周辺のコンドミニアムであれば家賃はRM650〜1,000程度。食費はマレーシアのフードコートや学食で1食RM5〜15(約175〜525円)のため、外食中心でも月RM750前後に収まります。

マレーシア留学中のお金の管理方法(送金・キャッシュレス決済・銀行口座)については、以下の記事で詳しくまとめています。

住居の選択肢

APUにはJ1、J2、K1、K2の4つの寮があります。寮の家賃は月RM850〜1,200程度です。

R.M.さんは最も古いJ1に入居し、こう話していました。

R.M.さん

毎日ゴキブリが出るんですよ。キッチンの方からドアの隙間を通って入ってくる。

これはJ1特有の話で、J2やK1、K2では聞かないそうです。

Aさんも4人部屋の寮に入り、4ヶ月で退去しています。「寮は家賃が比較的高いのに交通の便が悪い」のが理由でした。

寮を出た後の住居は、不動産サイト(PropertyGuru、iProperty)で探すのが一般的です。APU周辺のコンドミニアムでミドルルームRM650〜850が相場。取材した2人はどちらも、日本人の友人とコンドミニアムや一軒家をシェアしていました。

Aさんはコンドミニアムの同居人トラブルを経験しており、「シェアハウスは誰と住むかが一番大事」と振り返っています。

英語の準備と授業

英語の壁は「訛り」

APUで最初にぶつかる英語の壁は、教員や学生の訛りです。APUの教員にはマレー系、インド系、アラブ系がおり、英語の発音にそれぞれ特徴があります。

インド系の先生の英語が全く聞き取れなかった。友達に「今なんて言ってた?」と英語で通訳してもらうこともあった。(Aさん)

R.M.さん

いろんな国の人がいるから、いろんな訛りがある。「この人の発音は聞き取れるけど、この人は聞き取れない」みたいなのがあって。それがめっちゃ難しいし、面白い。

2人とも「慣れれば問題ない」としています。日常会話では訛りがあっても意思疎通に困ることはなく、授業で専門的な内容を強い訛りの英語で説明されるときが最も難しかったそうです。

授業の形式

APUの授業は「レクチャー」(大教室での座学)と「チュートリアル」(30人前後の演習)の二本立てです。1学期あたり7〜10科目で、各科目にレクチャーとチュートリアルがあるため、週に14前後の授業があります。

特徴的なのは、APUには履修登録の制度がない点です。受講する科目もスケジュールも大学側が決めて通知する仕組みで、学期内に1回シャッフルされることもあります。

ランダムに入れられるから、平日満遍なく授業が入ることもあるし、どこかが休みの日もある。しかも学期内に1回シャッフルされる。だから個人的なスケジュールが不安定です。(Aさん)

課題はグループワークが中心で、チームでシステムを開発して提出する形式もあります。テストはエッセイ、選択問題、穴埋めの3形式。学年が上がるにつれてエッセイの比率が高くなります。

R.M.さん

90分で1000語とか書く時もあります。ITなのにめっちゃ書きました。書けば書くほど点数につながるから、時間いっぱいまで書く。

APUの教室の雰囲気について、R.M.さんは「質問ありますか?」と聞くとすぐに手が上がる環境だと話しています。日本の教室では誰も手を挙げない場面でも、APUでは遅れたら順番が回ってこないほど積極的だそうです。

APUの出願方法と入学までの流れ

出願に必要なもの

APUの出願に必要なのは以下の3つです。

  1. 英語スコア(IELTS または TOEFL)
  2. 高校の成績証明書
  3. パスポート
プログラムIELTSTOEFL(PBT)
Foundation5.0500
Bachelor5.5〜6.0513〜550

エッセイは不要です。取材では、2人とも「出願自体は簡単だった」と話しています。R.M.さんはアメリカの語学学校でTOEFLを1回だけ受験し、APUの基準をクリア。Aさんはフィリピン・セブ島で3ヶ月間の語学留学を経て、IELTS 4.5から6.0まで伸ばしています。

ただしR.M.さんのケースでは書類の不備があり、9月入学が11月にずれ込んでいます。書類の確認は自分でもしておく必要があります。

エージェントの利用

R.M.さんはN高等学校に常駐していた留学エージェントを通じて出願。Aさんはマレーシア留学専門のエージェント(費用約10万円)を利用しています。

Aさんは振り返ってこう話していました。

今振り返ればエージェントは特にいらないって思います。ちゃんと自分で調べたら別に自分でもできるかな。

ただし初めての海外でマレーシア留学という未知の選択だった当時は、「安心材料としてエージェントを利用するのはあり」だったとも話しています。

ファウンデーション(大学準備課程)

APUではファウンデーション(1年間の大学準備課程)を経て学部に入学するルートと、学部に直接入学するルートがあります。

AさんはIELTS 6.0を持っていたため学部への直接入学も可能でしたが、英語での勉強への不安からファウンデーションを選びました。

今振り返れば意外と大丈夫なので、ファウンデーションの中身自体はなくてもよかったかな。ただ、そこでめっちゃ仲良い友達できたんで、行ってよかった。

ファウンデーションから学部への進学にエッセイや追加のIELTSは不要で、卒業できればそのまま進めます。

APUのキャンパス生活——食事・交通・治安

食事

APUの学食は7〜8店舗の選択肢があり、1食RM10〜20(約350〜700円)程度。インド料理、マレー料理、中華、日本食と選択肢は豊富です。

キャンパス外のフードコートやママック(マレーシアの大衆食堂。24時間営業の店も多い)では、1食RM5〜15(約175〜525円)で食べられます。

R.M.さんは外食中心で「一番うまいのは中華。マレーシアの中華は日本の中華よりうまい」と話していました。一方でAさんは8割自炊で「外のご飯は油っぽいし、野菜がない」という健康面の理由から自炊を選んでいます。自炊のコストは外食と大きく変わらないそうです。

交通

APUはテクノロジーパークという地区内にあり、最寄りの電車の駅まで距離があります。平日はAPUから駅まで無料バスが出ていますが、休日やキャンパス外への移動にはGrab(東南アジアで広く使われている配車アプリ)を使うことになります。

交通手段は学生によってさまざまです。

手段費用の目安備考
電車 + バス月RM100程度Aさんの場合(通学約1時間半)
バイク免許2〜3万円 + ガソリン月数千円免許取得に約2ヶ月
免許約10万円 + ガソリン月RM200〜240免許取得に最低半年。保険年RM500〜3,000

APU近くに住めば徒歩通学も可能です。R.M.さんは車を持っていますが「バイクの方が保険もガソリンも安い」とも話していました。

日本人コミュニティとサークル

APUには日本人学生のチャットグループがあり、住居探しや生活情報の共有に使われています。R.M.さんによると、クラス、サークル、日本人コミュニティの3つが主な繋がりだそうです。

IT・CS系の学部には日本人が比較的多い一方、ビジネス系は少数派です。Aさんが入学したインテーク(3月入学)のビジネス系同期には、日本人は自分だけだったそうです。

サークル活動も盛んです。取材した2人はどちらも農業クラブ(ファーミングクラブ)に関わっています。R.M.さんがAPUの敷地内で無許可でナスを育てたことがきっかけで正式にクラブを設立し、R.M.さんが退いた後はAさんが部長を引き継いで運営しています。

治安

APU周辺の治安について、取材した2人とも大きな問題は感じていません。

Aさんが挙げた留学中で一番怖かった経験は「犬」でした。夜間に野犬が吠えながらついてくることがあり、狂犬病のリスクには注意が必要です。不審人物や事故に遭った経験はないそうです。

R.M.さんは「ワンサウス」と呼ばれるエリアには注意が必要だと話しています。住むエリアの選択が安全に直結するとのことでした。

マレーシアではドラッグの売買は極めて重い犯罪です。R.M.さんの周囲でも手を出してしまう学生がいたそうで、「合法な場所でやるのは自由だけど、わざわざ違法なことをして自分の人生に傷をつける必要はない」とはっきり話していました。

APUの特徴と他の大学との違い

APUの特徴を他のマレーシアの大学と比較すると、以下のような違いがあります。

APUモナシュ大学マレーシア校サンウェイ大学
QSランキング597位36位410位
強みIT・CS特化、130カ国の多様性ランキング、オーストラリア本校と同じ学位アメリカ編入(ADTP)、アリゾナ州立大学提携
学費(年間目安)約105〜122万円約150〜200万円約100〜140万円

R.M.さんはモナシュ大学について「モナシュの方が楽って言いますよ。楽な上にランキングも高い」と話しつつも、APUの130カ国の多様性は他にない強みだと繰り返していました。何を優先するかによって選択は変わります。

まとめ

APU(アジアパシフィック大学)は、130カ国以上の留学生が集まるマレーシアのIT特化型大学です。QSランキングの数字(597位)だけでは見えない、多様性と実践的なカリキュラムに強みがあります。

この記事のポイント
  • 日本人留学生は数百人規模。IT・CS系に多いが、ビジネス系は少数
  • 学費は年間約105〜122万円(コースにより異なる)
  • 生活費は月約6〜9万円(住居・食事・交通手段の選び方で大きく変わる)
  • 出願にはIELTS 5.0〜6.0と高校の成績のみ。エッセイ不要
  • 英語の訛りが最初の壁だが、慣れで解消できる
  • 入学時期は3月・7月・9月

GoBeyondBordersでは、APUに通う日本人在学生への詳細なインタビューを公開しています。学費や生活費の数字だけでなく、APUを選んだ背景、授業の様子、サークル活動、留学中の困りごとまで、2時間のインタビューで聞いた話をまとめています。

免責事項

本記事の内容はインタビュー時点の情報に基づいており、費用・制度・条件は時期や個人の状況により異なります。ビザ制度や奨学金制度等は変更される可能性があるため、最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。本記事の内容に基づく判断や行動の結果について、当メディアおよび執筆者は責任を負いかねます。

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