マレーシアの大学に進学するとき、学費や生活費の支払い、日本からの送金、日常の決済をどう管理するかは最初に考えることの一つです。
この記事では、マレーシアの大学に通う僕自身の経験と、GoBeyondBordersがマレーシアの5つの大学に通う在学生に取材して集めたリアルなデータをもとに、送金方法からキャッシュレス決済、銀行口座の開設まで、マレーシア留学のお金管理を具体的にまとめました。
結論、僕はマレーシアに現金をほとんど持っていきませんでした。Wiseのデビットカードと、現地のQR決済(Touch ‘n Go eWallet)で、半年以上困ったことはありません。
※この記事の情報は2026年3月時点のものです。手数料・サービス内容は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
マレーシアは想像以上のキャッシュレス大国
マレーシアのQR決済の普及率は世界2位(61.5%)で、中国(67.4%)に次ぐ水準です。国内のQR決済の加盟店は260万か所を超え、コンビニ、スーパー、フードコート、学食、公共交通まで、日常生活のほとんどがキャッシュレスで完結します。
マレーシアでは「DuitNow QR」という統一規格が導入されていて、お店に掲示されている1つのQRコードを、どの決済アプリからでもスキャンして支払えます。日本のようにPayPayやd払いなどアプリごとに対応が異なる、ということがありません。
僕が現金をほとんど持っていかなかったのは、このキャッシュレス環境があったからです。実際、現金を使うのは月に数回程度で、金額にして月RM50〜100(約1,500〜3,000円)あれば十分です。
日本からマレーシアへの送金方法
マレーシア留学中、日本からの生活費の送金に最も多く使われているのがWise(ワイズ)です。GoBeyondBordersがマレーシアの大学に通う5人に取材したところ、3人がWiseを利用していました。
Wiseとは
Wiseは、銀行を介さずに海外送金ができるオンラインサービスです。為替レートに上乗せをせず、Google検索で表示されるのと同じ「ミッドマーケットレート(実勢レート)」で両替されるため、銀行の海外送金と比べて大幅にコストを抑えられます。日本では金融庁に登録された資金移動業者として運営されています。


送金手数料の比較(10万円をマレーシアに送金した場合)
| 方法 | 手数料 |
|---|---|
| 銀行の海外送金 | 約4,000〜6,000円+為替マークアップ(1〜3%) |
| Wise | 約600〜800円(送金額の約0.6%、為替マークアップなし) |
月10万円の仕送りを想定すると、年間で約4〜6万円の差になります。マレーシア留学は「費用を抑えて高い教育水準」が強みなので、送金手数料で差額を失うのはもったいないです。
実際に僕の周りでも、Wiseを作らずに渡航して、現地で銀行送金の手数料の高さに気づいてからアカウントを作る人が何人もいました。渡航前に準備しておくのが確実です。
送金の流れ(日本円 → マレーシアリンギット)
- Wiseアプリで送金額(JPY)と受取額(MYR)を入力
- 受取人のマレーシアの銀行口座情報(銀行名・口座番号・氏名)を入力
- 日本の銀行口座からWiseに振り込み
- Wiseが実勢レートでMYRに両替し、マレーシアの銀行口座に送金
多くの場合、1〜2営業日で着金します。銀行の海外送金(3〜5営業日)よりも速いので、「お金が足りなくなりそう」というときにもすぐに補充できます。
Wiseデビットカードも作っておくと便利
Wiseでは送金だけでなく、デビットカード(Mastercard)も発行できます。Wiseアカウントの残高から直接MYRで支払いができ、マレーシアのATMからリンギットの現金を引き出すこともできます。
特に、マレーシアに到着してから現地の銀行口座を開設するまで1〜2ヶ月かかるため、その間の生活費の支払い手段としてWiseカードが活躍します。僕は到着初日からWiseカードで支払いをしていました。
ATM引き出しは月2回・合計RM1,000まで無料です。僕は月1回、RM50〜100(約1,500〜3,000円)程度を引き出す程度なので、手数料はかかっていません。
Wise以外の送金方法
GoBeyondBordersの取材では、SBI Remitを経由してQueen Bee Capitalというマレーシアの送金業者を通じて受け取っているケースもありました。家庭によって手数料を比較して選んでいるようです。
また、Revolut(レボリュート)も海外送金・決済に対応しています。僕はRevolutも持っていますが、正直に言うと半年間で活躍した場面はまだありません。「Wiseカードを紛失したとき」「システム障害で使えなくなったとき」の保険として持っている状態です。


マレーシアで日常的に使う決済手段
マレーシアの大学生活では、主に3つの決済手段を組み合わせて使います。
Touch ‘n Go eWallet(QR決済)
Touch ‘n Go eWallet(タッチアンドゴー・イーウォレット)は、マレーシアで最も普及しているQR決済アプリです。マレーシアのeウォレット利用者の92%が使っていると言われており、日本でいうPayPayのような存在です。
学食、コンビニ(7-Eleven、myNews)、スーパー、フードコート、薬局(Watsons、Guardian)など、日常生活のほとんどの場所で使えます。支払い方法は、アプリでお店のQRコードをスキャンするだけです。
留学生も、マレーシアのSIMカードを取得すればパスポートでアカウント登録ができます。チャージは現地の銀行口座からの振り込み(手数料無料)が基本ですが、銀行口座開設前はWiseカードなどの海外カードからもチャージできます(2.6%の手数料がかかります)。
僕は学食での支払いや友人との割り勘にTouch ‘n Go eWalletを使っています。カード払いに対応していない小さな店でも、QRコードは使える場合が多いです。
Touch ‘n Goカード(交通系ICカード)
Touch ‘n Goカードは、日本のSuicaやPASMOにあたる交通系ICカードです。LRT(モノレール)、MRT、Rapid KLバス、KTMコミューター(近郊電車)などの公共交通機関で使います。
カードはMRT/LRT駅の窓口やコンビニでRM10程度で購入できます。NFC対応の「Enhanced」カードなら、Touch ‘n Go eWalletアプリからスマートフォンでチャージできるので、駅の窓口に並ぶ必要がありません。
バスや電車に乗るときはこのカードか現金のみで、Wiseのデビットカードやクレジットカードでは支払えません。マレーシアに着いたら早めに購入しておくと移動が楽です。
デビットカード(Wise / 現地銀行)
Wiseカードや現地銀行(Maybankなど)のデビットカードは、Visa/Mastercard対応の店舗で使えます。スーパーでのまとまった買い物や、QR決済に対応していない店舗での支払いに使っています。
デビットカードはチャージした分しか使えないので、クレジットカードのように使いすぎる心配がありません。初めての海外生活で支出感覚がつかめない最初の時期には、この仕組みが予算管理に役立ちました。


僕の使い分け
| 決済手段 | 用途 |
|---|---|
| Touch ‘n Go eWallet | 学食、フードコート、コンビニ、友人との割り勘 |
| Wiseデビットカード | スーパー、日用品の買い物、ATM引き出し |
| Touch ‘n Goカード | LRT、MRT、バスなどの公共交通機関 |
現地銀行口座(Maybank)の開設
GoBeyondBordersの取材では、マレーシアで銀行口座を開設した4人全員がMaybankを選んでいました。Maybankはマレーシア最大の銀行で、ATMや支店の数が多く、大学の近くにも支店がある場合がほとんどです。
口座開設に必要なもの
- パスポート(原本)
- Student Pass(学生ビザ)
- 大学の在籍証明書またはオファーレター
- 初回入金(RM250〜1,000程度、銀行による)
開設には1〜2時間、デビットカードは当日または数日以内に受け取れます。大学によっては必要書類の準備を手伝ってくれるところもあります。
注意点:到着から口座開設まで1〜2ヶ月のギャップがある
銀行口座の開設にはStudent Pass(学生ビザ)が必要ですが、Student PassはEMGS(Education Malaysia Global Services)の審査を経て発行されるため、到着後1〜2ヶ月かかるのが一般的です。
この期間中は、Wiseデビットカード、Touch ‘n Go eWallet(海外カードからチャージ)、現金で生活をつなぐことになります。僕も最初の2ヶ月はこの方法で過ごしましたが、特に困ることはありませんでした。
口座を開設したら、日本からの送金ルートは「Wise → Maybank口座」に切り替えるのが手数料的にも管理的にも楽です。Touch ‘n Go eWalletへのチャージもMaybank口座からなら手数料無料になります。
銀行口座を作らないという選択肢
GoBeyondBordersの取材では、銀行口座を開設せずWiseだけで生活している在学生もいました。Wiseカードで決済し、QR決済アプリにもWiseカードからチャージしているそうです。「手続きの手間を考えると、Wiseだけで十分回っている」と話していました。
ただし、大学の奨学金やアルバイト代の受け取りにマレーシアの銀行口座が必要になるケースもあるため、長期留学の場合は開設しておくのが一般的です。
僕の毎月のお金の流れ
僕は基本的に、毎月必要な分だけを日本の口座からWiseに送金しています。まとめて送った方が手間は少ないですが、あえて毎月送る方法を選んでいます。
基本は毎月ほぼ定額ですが、旅行や大きな買い物の予定があれば調整します。
親が日本の銀行からWiseに振り込む形です。手数料は送金額の約0.6%です。
Wiseアプリ上でリンギットに両替しておくと、Wiseカードでの支払いやATM引き出し時に為替手数料がかかりません。
学食やフードコートはTouch ‘n Go eWallet、スーパーや日用品はWiseカードで払っています。
月に1回、RM50〜100(約1,500〜3,000円)程度を引き出しています。
毎月少額ずつ送金する3つの理由
- リスク分散
システム障害やカードトラブルがあっても、全額を1か所に置いていなければダメージを最小限にできます。 - 使いすぎ防止
毎月の残高を区切ることで、「今月はあといくら使えるか」が見えます。留学1ヶ月目はリンギットの感覚がつかめず予算をオーバーしましたが、2ヶ月目からは残高を意識するようになり、予算内に収まるようになりました。 - 為替変動への対応
一度に大金を両替するより、毎月少しずつ送ることで極端なレートの当たり外れを平均化できます。
現金が必要な場面と注意したいトラブル
キャッシュレスが進んでいるとはいえ、現金が必要な場面もあります。僕が実際に現金を使ったのは以下の場面です。
現金が必要だった場面
- 寮の洗濯機
大学の寮の洗濯機は、専用カードに現金でチャージする方式でした。カード決済やQR決済は非対応です。 - 一部の屋台やナイトマーケット
小さな屋台ではまだ現金のみの場合があります。ただし、DuitNow QR対応の屋台は年々増えています。 - Wiseの残高を使い切ったとき
チャージが間に合わなかった場面で現金を使いました。RM50〜100を手元に持っておくと安心です。
注意したいトラブル
- カードスキミング
GoBeyondBordersの取材では、カードリーダーに仕掛けられたスキミング装置でクレジットカード情報を盗まれ、約5万円の被害に遭った学生の友人の話がありました。カードを機械に差し込むよりも、タッチ決済やQR決済の方がスキミングのリスクを避けられます。 - 住居のデポジット詐欺
取材では、物件のデポジットRM2,000(約6万円)を支払ったあと連絡が取れなくなり、泣き寝入りになったケースもありました。住居を探すときは、大学の紹介や信頼できるエージェント経由がリスクを減らせます。 - 最初の1ヶ月はリンギットの感覚がつかめない
僕もそうでしたが、最初は日本円換算で考えてしまい予算をオーバーしがちです。Wiseの履歴画面では使った金額がMYRと日本円の両方で表示されるので、毎週チェックすると感覚がつかめてきます。
GoBeyondBordersが取材した5人の送金・決済事情
GoBeyondBordersでは、マレーシアの5つの大学に通う在学生にお金の管理方法を取材しました。
取材した5人の大学
- サンウェイ大学(Sunway University)
- モナッシュ大学マレーシア校(Monash University Malaysia)× 2人
- APU(Asia Pacific University)× 2人
送金方法と銀行口座
5人中4人がMaybankで口座を開設していました。1人は銀行口座を開設せず、Wiseだけで生活しています。
送金方法はWise利用が3人。1人はSBI Remit経由でマレーシアの送金業者(Queen Bee Capital)を通じて受け取っていました。親が各サービスの手数料を比較して、家庭ごとに最適な方法を選んでいるようです。
月々の生活費
取材した5人の月々の生活費(学費を除く)は以下のとおりです。
| 水準 | 金額 | 内訳の傾向 |
|---|---|---|
| 最も少ない人 | 月約6万円 | 自炊率80%、電車通学、コンドミニアムのミドルルーム |
| 平均的な水準 | 月約8万円 | 自炊と外食が半々、徒歩通学、コンドミニアムまたは寮 |
| 多い月 | 月10〜14万円 | 外食や飲み会が多い月、旅行がある月 |
食費を抑えるポイントとして、マレーシアのフードコートやママック(24時間営業のインド系レストラン)では1食RM5〜15(約150〜450円)で食べられます。外食中心でも月の食費をRM750(約2万円)前後に収めている人が多いです。
海外旅行保険の判断
5人のうち、日本の海外旅行保険に2年目以降も加入しているのは1人だけでした。2人は1年目に加入(年間約20万円)した後、2年目以降は大学の保険のみに切り替えています。「費用を抑えて留学するメリットを保険料で相殺するのは本末転倒」という声がありました。
一方で、保険未加入のまま海外旅行中にインフルエンザにかかり、3万円の自己負担になったケースもあります。保険の判断は個人のリスク許容度と家庭の方針によるため、一概には言えません。
渡航前から到着後のお金準備タイムライン
渡航1〜2ヶ月前
- Wiseアカウントを開設し、デビットカードを申し込む(届くまで1〜2週間かかるため余裕を持つ)
- 少額(1,000円程度)でテスト送金し、「入金 → MYRに両替 → カード決済」の流れを一通り試しておく
- 必要に応じてRevolutも開設(バックアップとして)
渡航当日
- 現金は最低限(RM500〜1,000 / 約1.5〜3万円相当)を持参または空港で両替
- Wiseカードがあればそれだけでも到着初日から支払いは可能
到着後1週間以内
- マレーシアのSIMカードを購入(Hotlink、CelcomDigi、Digiなど。月RM15〜30 / 約450〜900円)
- Touch ‘n Go eWalletに登録(マレーシアのSIMが必要)
- Touch ‘n Goカード(NFC対応)を購入
到着後1〜2ヶ月(Student Pass発行後)
- Maybankの口座を開設
- 送金ルートを「Wise → Maybank」に切り替え
- Touch ‘n Go eWalletのチャージ元をMaybank口座に変更(手数料無料に)
安定期以降
- 毎月「Wise → Maybank → Touch ‘n Go eWallet」のルートで回す
- Wiseの履歴でJPYとMYRの両方を確認しながら予算管理
- 現金はRM50〜100を手元にキープ
親の仕送りにもWiseは使える
仕送りの仕組みとしてもWiseは便利です。僕の場合は、親がWiseアプリから僕のWiseアカウント(またはMaybank口座)に毎月送金しています。
銀行の海外送金と比べて手続きがアプリで完結し、手数料は10分の1以下、着金も1〜2日です。親にとっても毎月の手間と負担が大幅に減ります。
家族カード(クレジットカードのサブカード)を持ってくる友人もいますが、自分名義のWiseカード+月々の上限管理の方が、支出感覚を身につけるには向いていると感じています。
マレーシア留学のお金管理まとめ
この記事のポイント
- マレーシアはQR決済普及率が世界2位。日常生活はほぼキャッシュレスで完結する
- 日本からの送金はWiseが定番。手数料は銀行の約10分の1
- 日常の決済はTouch ‘n Go eWallet(QR)+Wiseカード+Touch ‘n Goカード(交通)の3つで回せる
- 銀行口座はMaybankが定番。Student Pass発行後に開設
- 到着後1〜2ヶ月はWiseカードで生活し、口座開設後に本格運用に移行
- 現金はRM50〜100を手元に持っておけば十分
お金の管理に不安がないことで、勉強や新しい挑戦に集中できるようになります。渡航前にWiseのアカウント開設とテスト送金を済ませておくだけで、マレーシアでの生活は初日からスムーズに始められます。








コメント